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自家製剤加算についての勉強

先日の出勤の際、ミストラブル報告書をひとつ書きました。

内容は、昨年2回ほど自家製剤加算を取り忘れていたらしく、そのことについてです。

実は同様の内容の報告書を、他の薬剤師さんでも書かれている方がいて、取り漏れの多い加算なのかなと思いました。また、どういった場合にとれるかについて、自信がない薬剤師さんも少なくありませんでした。

今回は、反省もこめて自家製剤加算について勉強したいと思います。

 

自家製剤加算とは

 

最新の調剤報酬(2019年10月時点)で、自家製剤加算とは

① 市販されている医薬品の剤形で対応できない時に

② 医師の指示に基づいて

③ 容易に服用できるよう調剤上の特殊な技術工夫を行った場合

④ 1調剤ごとに算定できる

点数のことです。何点加算できるかは、以下の早見表をご参照ください。

https://www.enif-net.tv/yakuzi/Dispensingreward201910.pdf

 

上では、算定要件の文面を条件に沿って4つに分けてみました。それぞれの条件に沿って詳しく見てみます。

 

③ 容易に服用できるよう調剤上の特殊な技術工夫

いきなり③からですみませんが、どういった調剤行為が算定対象か先に知った方が理解が楽なのでそうします。

調剤薬局でよく出会うのは

・割線のある錠剤を分割する

・錠剤を粉砕する

の2通りかと思います。割線がないものを割っても加算できないので要注意です。

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他にも、添加剤(安定剤、溶解補助剤、懸濁剤など)を加えて調剤した場合、ろ過・加温・滅菌などを行った場合、溶解して点眼剤を無菌調剤した場合、基剤を加えて坐剤とする場合なども該当するようです。これは病院薬剤部での院内製剤に該当すると思うので、今回は割愛します。

なので、分割(0.5錠)や粉砕指示があれば、自家製剤加算を念頭に監査しましょう。

 

① 市販されている医薬品の剤形で対応できない時

他に製造・販売されている剤形や規格のもので対応可能なのに、分割や粉砕はしてはいけないという意味です。

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してはいけない、というより「しても算定とれません」という意味です。なので、採用薬等の事情で分割や分割を行うのは構いません。

 

② 医師の指示に基づいて
④ 1調剤ごとに算定できる

医師の指示が処方箋上に必要です。また、この算定は「1調剤ごとに」可能なので、服用タイミングの違うものや処方日数の異なる場合は個別に算定可能です。

 

その他の注意

他の算定との同時加算の可否について規定があります。

 

・計量混合調剤加算

この加算は、液剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤について、2種類以上の医薬品を計量・混合した場合に算定できます。

しかし、自家製剤加算を算定した場合は、どちらか一方しか算定できません。具体的なケースとしては、錠剤を粉砕して計量、他の散剤と混合して分包した場合などがあります。

 

・一包化加算

この加算は、2剤以上の内服薬、または1剤で3種類以上の内服薬を服用時点ごとに一包化を行った場合、処方日数に応じて算定できます。

一包化加算は、自家製剤加算計量混合調剤加算とは合わせて算定できません。一包化という技術の中に、それらが包括されると考えられるからです。

 

個人的には、これが今回のミスの大きな原因かと思います。半錠があっても一包化加算をとれることが多いので、あまり自家製剤加算をとる機会がありませんでした。

また今回の症例では、すでにヒートで服用があるところに、追加で半錠が開始されたタイミングでの算定ミスでした。新たに医薬品が追加されたところに注力し、相互作用や用量規定にしか気が回らなかったのも、ミスの原因と思います。

 

このように色々な規定のある調剤報酬。全てを覚えるのは難しいですが、頻回に出会うケースや、このようにミスを経験したものについては、しっかり勉強していきたいですね。