夢のある研究の話③
平成のうちに終わらせるつもりが令和にまたいでしまいました😩
シリーズ最後は、僕の最も興味のある分野、quality of life (QOL) です。
厳密にいうと、終末期におけるQOLの保持に薬剤の貢献と、そのための適正使用アルゴリズムに関心があります。
例えば、疼痛コントロールに不可欠な医療用麻薬ですが、その使用方法について「正解」はありません。ここでいう正解とは、例えば「XXXがんの疼痛にはXXXの鎮痛効果が優れている」とかです。もちろん人の命・健康を扱う以上、正解なんてものはないのですが、それでも正解に近いものを探求していくのが医療であり科学です。
また、終末期においては薬剤の使用がせん妄などの有害事象の原因となることもあり、ポリファーマシーの問題が一層深刻です。こういった有害事象は、患者さん本人はもちろん、周囲の人やご家族、医療スタッフの負担や悲しみにつながります。
どういった薬剤をどのように使用した場合に、患者が最期の時を幸せに過ごせるのか。
僕の最大の関心はここにあります。病を治すだけでなく、最期の時まで人生を豊かにするためのツールとして、医薬品を使える薬剤師でありたいと思います。
ただ、終末期の患者をリクルートして前向き臨床試験を行うことが現実的でないことは、想像に難くないと思います。
そこで役立つのではないかと僕が期待しているのが、②で触れたビッグデータです。
亡くなった方のデータは、現状どうなっているのでしょう。一定期間保管された後、廃棄されているのではないでしょうか。だとすれば、実にもったいない。
終末期における薬剤使用の実態と、患者家族や医療スタッフから得られる治療満足度評価(広義でのpatient report outcome…?)とを収集し、解析し、終末期医療の雛型やガイドラインのようなものを提唱できればと考えています。
とはいえ、漠然としすぎていて、今のところ全く現実的ではありません…😅 Death cohort みたいなものを作れたら何か言えることがあるんじゃないかな、というくらいですね…。
博士課程を通じて、研究に対する考え方等を学び、本当にこのやりたいことに意味があるのか、見極めていきます。